脳梗塞の後遺症で障害年金を請求するには

障害の程度は、国の定める認定基準により認定されます。障害認定日(原則として初診日より1年6か月を経過した日)に、障害の程度が障害等級の基準に該当しているか、または、障害認定日に障害の状態が等級の基準に該当しなくても、その後重くなって65歳到達前に障害等級の基準に該当したことにより受給できます。

 脳梗塞による後遺症では、症状が固定したと診断された場合は初診日から6か月を経過した時点で請求手続きができますが、実際には1年6か月を経過しないと症状固定を認めない傾向にあります。

 また、脳梗塞の後遺症では、身体・言語・そしゃく/嚥下・視力/視野・聴力・精神障害など症状が出ている箇所により認定基準が分かれています。

ここでは、後遺症で一番多い身体の機能の障害について紹介します。

認定基準によると脳梗塞により身体に残る後遺症で各等級に相当する障害の状態は次の通りです。

障害の程度

障 害 の 状 態

1 級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、他人の介助を受けなければほとんど日常生活の用を弁ずることができない程度のものである。

 例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものである。

2 級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。

 例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。

3 級

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。

また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。

 

後遺症で肢体の機能に残る障害の程度は、各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。

障害の程度

障 害 の 状 態

1 級

1.    一上肢及び一下肢の用を全く廃し、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態。

2.   四肢の機能に残る障害で、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが 「一人でできるが非常に不自由な場合」。

2 級

1.    一上肢及び一下肢の機能に残る障害で、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが 「一人でできるが非常に不自由な場合」。

2.    四肢の機能に残る障害で、日常生活における動作の一部が「一人で  全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」。

3 級

一上肢及び一下肢の機能に残る障害で、日常生活における動作の一部が「一人で  全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」。

肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。

日常生活における動作と身体機能との関連は、おおむね次のとおりです。

ア 手指の機能

(ア)     つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)

(イ)     握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)

(ウ)     タオルを絞る(水をきれる程度)

(エ)     ひもを結ぶ 

イ 上肢の機能

(ア)     さじで食事をする

(イ)     顔を洗う(顔に手のひらをつける)

(ウ)     用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)

(エ)     用便の処置をする(尻のところに手をやる)

(オ)     上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)

(カ)     上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

ウ 下肢の機能

(ア)     片足で立つ

(イ)     歩く(屋内)

(ウ)     歩く(屋外)

(エ)     立ち上がる

(オ)     階段を上る

(カ)     階段を下りる

 

請求する時に提出する診断書と病歴・就労状況等申立書について

障害年金は書類審査のため、どんなに症状が重くても、日常生活に支障があっても、提出する書類に記載されていなければ伝わりません。また、就労に関しては、働くことができる場合は病状が軽いと判断される傾向にあります。

診断書(障害年金専用の用紙になります)

 診断書を依頼する際には、どんな症状がどのくらいの頻度であるのかとか、日常生活のどんな部分に支障があるか等を医師に十分に伝えて、どれだけ詳細に病状や日常生活状況を記載していただけるかどうかが最も重要です。

医師は患者の日常生活を必ずしも把握しているとは限らないため、診断書の内容と自分で判断した日常生活能力の目安に大きな相違がないかどうか確認も大切です。

病歴・就労状況等申立書

病歴・就労状況等申立書は、自己申告として発病から現在までの病状・日常生活の状況等を記入するものです。日常生活でどんな症状があってどう困っていたか、家族や周囲の人からの援助の有無やその内容など、診断書では伝えきれない内容を具体的に記入することが大切です。診断書と矛盾がないか確認する必要もあります。

脳梗塞による後遺症の初診日と年金保険料について

障害年金を請求するための基本的な条件は次の通りとなっています。

(1)原則として、初診日に公的年金加入期間中であること。

(2)初診日の前日時点で、初診日のある月の2か月前までの公的年金加入期間の3分の2以上の期間について、年金保険料が納付(免除か納付猶予も含む)されていること。
若しくは、初診日に65歳未満で初診日のある月の2か月前までの1年間に年金保険料が納付(免除か納付猶予も含む)されていること。

年金保険料については一部例外を除き、納付の条件を満たしていなければ、どんなに症状が重くても障害年金を請求することはできません。

初診日は脳梗塞の症状が出て初めて医師の診断を受けた日となり、医師の証明書が必要となります。ただし、診断書を依頼する医療機関が初診時と同じであれば診断書のみで大丈夫です。

受給事例紹介

 >> 脳出血による半身まひで障害厚生年金 1級を受給できた事例

最後に

初診日がいつになるのかとか、障害等級に該当するかどうか判断することは、ご本人だけでは難しい場合もありますので、専門家である社労士にご相談いただくことをお勧めします。

当事務所では、出張無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。

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