【多発性嚢胞腎】働いていると障害年金の対象ではないと、病院で言われたが2級を受給できた事例

傷病名:多発性嚢胞腎(人工透析)

決定した年金種類と等級:障害厚生年金 2級

支給月から次回更新月までの5年間の総受給額:約944万円

相談時の状況

障害年金というものがあることは知っていたそうですが、入院したころに病院の看護師から、働いていると障害年金は受けられないと言われ、あきらめていたそうです。

現在、別の病院で週3回の夜間人工透析を受けながら、これまでの外回りの仕事から内勤業務に異動し、仕事に復帰されていますが、たまたま同じ透析を受けている患者さんが障害年金を受けながら働いていることを知り、相談に来られました。

受任から請求までのサポート

*多発性嚢胞腎の初診日(病気やけがで初めて医師の診療を受けた日)について

腎疾患は最初の頃は症状が軽く、その後長い時間をかけて徐々に症状が悪化することが多いため、初診日の証明に大変苦労することがあります。

多発性嚢胞腎と診断された日ではなく、高血圧や血尿、腰痛などのため精密検査を行ったときに多発性嚢胞腎が発見される場合があり、この場合は精密検査を行った日が初診日となります。

この方のケースでは、最初に健康診断で腎機能の異常を指摘され受診したものの、自覚症状がなかったため、しばらく通院しなくなったそうです。

しかし毎年の健康診断で指摘され、ようやく受診したところ腎不全がかなり進行していました。

再度病院に行くまでにしばらく期間があいていたことや、最初の通院の記憶があいまいだったため、少し時間がかかりましたが、当時のお薬手帳領収書・診察券などを探していただき、なんとか初診日を特定することができました。

*障害の程度と腎疾患の認定基準について

血液検査の「検査数値」と日常生活への支障の程度を示す「一般状態区分」を主な指標として等級が判断されます。

これにより、どの等級に相当するか大体の目安となります。また、人工透析をしている場合は2級となります。
ご本人はすでに人工透析を受けており、障害の程度は2級として認定されることは間違いないものでした。

(腎疾患の認定基準)
障害の程度 障害の状態
1級 検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級 1 検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表の
  エ又はウに該当するもの
2 人工透析療法施行中のもの
3級 検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
検査項目及び異常値
区分 検査項目 単位 軽度異常 中等度異常 高度異常
内因性クレアチニン
クリアランス
ml/分 20以上30未満 10以上20未満 10未満
血清クレアチニン mg/dl 3以上5未満 5以上8未満 8以上
一般状態区分表
区分 一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
*診断書、病歴・就労状況等申立書について

診断書には、人工透析の開始日や必要な項目の欄も漏れなく記載されているか確認し、病歴・就労状況等申立書も、多発性嚢胞腎が発覚したころから現在までの通院や日常生活への支障などを診断書との整合性に注意し記載するよう心掛けました。

今回は、初診日の証明のための客観的資料が見つけられたことで請求につながったと考えます。

人工透析を受け始めてから何年も経ってからの請求となり、もっと早い時期に正しい情報を知らされていれば、かなり前から受けられたはずなのに行政は冷たいとおっしゃっていました。

腎疾患の場合は、特に初診日の証明を得ることに大変な労力を要します。

あきらめずに粘り強く手がかりを探すことが大切ですが、ご本人だけでは難しい場合もありますので、専門家である社労士にご相談いただくことをお勧めします。

当事務所では、出張無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。

多発性嚢胞腎腎疾患の関連記事はこちら

平日8:00〜22:00
土日祝日応相談
042-495-5220

障害年金相談票ダウンロード

  • 相談票PDF
  • 相談票Word