障害年金のデメリットと注意点【社労士が解説】
質問
障害年金を受けると、デメリットになることはありますか?
答え
障害年金を受けるうえで、デメリットとその他に注意しておきたいことがあります。
デメリットとして考えられること
障害基礎年金を受給しているご本人が亡くなった場合は、配偶者への寡婦年金、または遺族への死亡一時金は支給されません。
寡婦年金または死亡一時金は、国民年金の加入者が年金保険料を納めていて、年金を受ける前に亡くなってしまった場合に、その埋め合わせの意味で一定の要件を満たす配偶者に寡婦年金を支給するか、または遺族に死亡一時金を支給する制度です。
そのため、障害基礎年金を受けている方が亡くなった場合には、配偶者への寡婦年金または遺族への死亡一時金は支給されません。
寡婦年金または死亡一時金の金額は、亡くなる前までご本人が納めていた期間で計算されます。
寡婦年金は老齢基礎年金の4分の3相当の金額となり、死亡一時金は12万円から32万円の範囲で、どちらも納めていた期間により金額が異なってきます。
障害年金と他の収入の合計が年間180万円を超える場合に、配偶者の扶養から外れることがあります。
配偶者の扶養になっている方が、障害年金と他の収入の合計で年間180万円を超えると扶養から外れることになり、自分で国民年金保険料や国民健康保険料を納めなければなりません。
障害年金だけで扶養から外れることはほとんどありませんが、他の収入がある場合は注意が必要です。
デメリットではないが注意しておきたいこと
20歳前の傷病で障害基礎年金を受けている場合のみ、所得制限があります。
障害年金には基本的に所得制限はありませんが、例外として20歳前の傷病による障害基礎年金は保険料を払っていなくても受けられる年金であるため、所得による制限があります。
所得を毎年確認されて、1年間の所得が一定額を超えると翌年の年金の支給がストップし、所得が一定額未満になると次の年は年金の支給が復活します。
所得金額により2分の1相当額の支給停止と全額支給停止があります。
国民年金保険料は法定免除となるため免除の手続きをした場合は、将来の老齢基礎年金が免除期間中の分は少なくなります。
2級以上の障害基礎年金を受給すると国民年金の保険料が法定免除となります。
免除期間は半額を支払ったとみなして計算されて、将来受け取る老齢基礎年金には免除期間の分は半額反映されます。
65歳以降に老齢基礎年金を受けることになった場合の年金額は、保険料を全額納付した場合と比べて免除期間の分は少なくなります。
障害年金を受けたために老齢年金が減るということではありません。
障害年金は一部の永久認定を除き、何年か毎に障害等級に該当するか見直しがあるため、障害の程度の変化で老後も障害年金を受給できるとは限りません。
将来の老齢基礎年金の減額を避けたいとお考えの場合は、免除を受けずに年金保険料を納めることもできます。
また、10年以内であれば家計の事情によって後から納めることもできます。
傷病手当金を申請する場合は障害年金の受給が勤務先に知られることがあります。
障害年金は非課税ですから年末調整や確定申告をする必要もありませんが、健康保険の傷病手当金を申請する場合は、申請用紙に障害年金受給中であることを記載する欄があるため、勤務先が障害年金の受給を知ることになります。
しかし、そのことで問題になる理由は何もありません。
障害年金を受給していることは個人の権利に属することですから、自ら勤務先に申告する義務は全くありません。
マイナンバーを届けていても、障害年金は無関係であり勤務先に知られることはありません。
まとめ
障害年金を受けることによるデメリットはごく一部のケースに限られます。
障害年金を受けることに精神的な負い目を感じる方もなかにはおられますが、障害年金の受給権は、憲法に保障された生存権としての社会保障制度の一部です。
また、年金保険料を払っている人が受給できる正当な権利でもあります。 負い目を感じる必要は全くありません。
なによりも障害年金の受給で、日常生活の不安が経済的にも多少和らげることができるのではないでしょうか。
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